知らないことを調べるブログ

映画の分からないところを調べてまとめる場所にしていきます。

みた映画の感想

フェア・ゲーム(2010)

プレイム事件の映画。ラストの演説で「ああっ」となった。忘れないうちにメモしておく。

物語を整理すると――

前提)敵の不正に噛み付いたせいで主人公は社会的に抹殺されてしまう
展開)法律を武器に主人公は敵と戦う
結末)敵を有罪に追い詰めることに成功する

となる。サブストーリーがいくつか間に入ってくるが大筋はこう。観客が望む結末に向かって物語は進んでいき、この映画はそこに着地する。主人公は敵を倒し、夫婦は結束してハッピーエンド。

ところが、考えてほしい。敵は有罪になっていないのだ。

この映画における主人公はウィルソン夫婦、対する敵はブッシュ政権だ。逮捕されたリビー補佐官はスケープゴートに過ぎない。ブッシュやチェイニーは政治責任を現在も問われていない。

主人公の目的は「ブッシュ政権の嘘を明らかにすること」だった。ひとりが捕まったところで、その目的はまったく達成されていない。

この映画のテーマは論点のすり替えであり、この映画自体が論点のすり替えによって構成されている。つまり、この映画は論点のすり替えが行われるようすを見せ、その怖さを私たちに考えさせてくれる映画なのだ。「いま論点がすり替わったことに気付きましたか?」というわけだ。


○上がデヴィッド=アンドリュース。下が実際のルイス=リビー。驚くほどそっくりだ。

物語の終盤、ウィルソンは講堂で演説を行う。「国は論点をすり替えた。君たちはそれに怒ったか? 騙されたと憤慨したか? もしそう感じたならば声を上げるべきだ。行動を起こすべきだ。戦うべきだ」

しかし、戦うには命をかける覚悟が必要だ。「CIA工作員名漏洩事件:ヴァレリー・プレイムの回顧録がいよいよ刊行: 暗いニュースリンク:」から引用する。

イギリスでは、ブレア首相が「イラクは45分以内に大量破壊兵器を実戦配備出来る」と世界に向けて嘘をついた。イギリス情報局秘密情報部(SIS:MI6)は、ブッシュ政権がイラク侵攻のために情報をデッチあげ、それに合わせてブレア政権が嘘をつくことを充分知っていた。その嘘を内部告発したデイビッド・ケリー博士はあっという間に変死した。


ところで、銃弾が飛び交うイラク市街を車で逃走するシーンは本当におそろしかった……。