知らないことを調べるブログ

映画の分からないところを調べてまとめる場所にしていきます。

とらえ方次第でどんなことでも絶望に感じる「タルコフスキーのストーカー」

・映画は公開から70年で著作権が切れる。つまり1944年までに公開された映画はだいたいyoutubeに上がってる。
斎藤寅次郎
マック=セネット
ハロルド=ロイド
が気になってる。皆サイレント時代の俳優。


・最近観た映画。
マディソン郡の橋(1992)
続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966)
キートンの化物屋敷(1921)
キートンの隣同士(1920)
ストーカー(1979)

 タルコフスキーの「ストーカー」でのストーカーとは、心の深層へ降りていくための案内人を指す呼び名だ。降りていく当事者そのものを指す呼び名でもあるようだ。光原伸の漫画「アウターゾーン」でミザリーが自称する案内人=ストーカーの元ネタがこの映画だ。

 心の深層=ゾーンでは不思議な現象が起こっていく。死の危険もある。ストーカーは旅人たちにこう告げる。「ゾーンは私達の精神状態を反映して姿を変える。たとえ目的地が目の前にあっても、まっすぐ向かわずに回り道をしなければたどり着くことは出来ない」

 映画冒頭で字幕が流れる。それによると、ある日突然ヨーロッパにゾーンと呼ばれる場所が発生したという。この映画で物語の状況説明はこれだけだ。旅人たちは、そこに行けばどんな願いも叶うという部屋を探してゾーンへ侵入する。旅人はストーカーに尋ねる。「どんな人物なら部屋へたどり着けるんだ?」答えはこうだ。「不幸で、絶望した人物」

 どこにあるかわからない不思議な場所と聞いて、すぐに連想するのはゴダイゴの「ガンダーラ」と、谷山浩子の「まっくら森の歌」だ。

 旅人たちとストーカーの3人はゾーンを探検しながら疲弊し、とうとう部屋の直前で参ってしまう。部屋を爆破しようとする旅人に対してストーカーはうろたえる。「私にはここしかないんだ! 日常ではろくでなしの私でも、ここでなら特別な存在になれる」最貧の生活を送るストーカーは日常に絶望し、ゾーンに依存していた。彼は、自身の娘が生まれつき脚のない不具者であったことを「ゾーンの呪いであり、報いだ」と話す。

 ところが、その娘が超能力を持っていることが映画ラストで示される。これは、ゾーンが授けた恩恵を呪いだと思い込む男の滑稽さを笑うところだろう。かつ、「とらえ方次第でどんなことでも絶望に感じる」というテーマがあったように思って、ぞっとした。

 深層心理に踏み込む危険な映画では、「マリリン・モンロー 最後の告白」という映画を思い出す。マリリンは自分が男たちのセックスシンボルであることに疲弊し精神を病み、精神医学による治療を受けていた。精神の治療には自浄作用が重要だ。

 ところが、マリリンは精神科医さえも魅了してしまった。精神科医のラルフは彼女の心の深層を必要以上に迫り、暴き、ついには精神の自浄作用を停止させてしまう。そのうえで彼女を放置してパリに逃げてしまったのだ。マリリンは1962年、睡眠薬オーバードーズで死亡した。
自分の心のうちを聴いてくれる人イコール理解者、は嘘だということがわかる映画「マリリン・モンロー最後の告白」 - 知らないことを調べるブログ

 心の深層に入っていくのはたぶん禁忌なのだろうと思う。だって死んじゃうんだから。


3/1に町山さんがイベントで解説してくれる。podcastでも配信されると書いてある。楽しみ。
「町山智浩のQ&A」で課題にする映画3本 - 映画評論家町山智浩アメリカ日記