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知らないことを調べるブログ

映画の分からないところを調べてまとめる場所にしていきます。

善悪がわからなくなる「侵入者」

最近みた映画。

お熱いのがお好き(1959)
南部の唄(1946)
侵入者(1962)
借りぐらしのアリエッティ(2010)
ザ・グリード(1998)


 マリリン=モンロー主演のコメディ映画「お熱いのがお好き」で、一人の人物が「あっしはこれで。スパッツに見られたら、ばいばいチャーリーってことになりますからね」と話す。彼は後にマフィアのスパッツによって「ばいばいチャーリー」と殺される。

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 これはたぶんギャグだろう。「さよならチャーリー」という映画がある。でもおかしいのが公開年だ。「お熱いのがお好き」は1959年で「さよならチャーリー」は1964年。どういうことだろう?

 調べると、「さよならチャーリー」の原作は1959年公開の舞台劇だった。「お熱いのがお好き」の公開は同年3月29日。ということは、撮影時にこの舞台劇が流行っていて、それを映画に取り込んだということなのかな。ちょっと時期に無理があるけれどそれ以外に説明がつかない。

 Googleで「さよならチャーリー お熱いのがお好き」と検索すると、トニー=カーティスのwikipediaが一番上に表示される。彼は両映画の主演俳優だ。偶然かな。


 偶然といえば、ディズニーランドにあるスプラッシュマウンテンの元になったディズニー映画「南部の唄」と、南部の黒人差別を描いた映画「侵入者」を偶然立て続けにみた。「侵入者」は上映時間が短いからてきとうに選んだのだけれどこれが大当たり。今年ベスト。演出がかっこいい!

 例えば、南部で実施された白人と黒人の共学に反対する住民たちが、登校する黒人生徒たちを校門前で待ち受けるこのシーン。

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 これだけでもアレなのに、黒人生徒たちはこの中を硬い表情で突き進んでいく。すげー怖い。ふとしたきっかけで殺されかねない感じがぞくぞくする。(緊張感について詳しくはこちらに書きました。:「ぎりぎりでバランスを保っているけれどちょっと間違ったら大変なことに、という絶妙な脆さが緊張感を生み出す - 知らないことを調べるブログ」)

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 映画はジエンドで終わるんだけど、この映画のことがいまだに消化できてない。どう受け取ればいいんだ? 心にずーんと残る。似た読後感でいうと、たとえば、列車内に監禁されるサスペンス映画「ある戦慄」、イーストウッド映画「グラントリノ」、ネットで知り合った恋人に監督が実際に会いに行くホラードキュメンタリー映画「キャットフィッシュ」、アレクサンダー=ペイン監督の悲喜劇「アバウトシュミット」辺りのあの感じ。善悪がわからなくなるというかなんというか……。

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 たぶんこの映画の主題は黒人差別のことではなくて、登場人物たちの思想にあるんだと思う。客観的に彼らの行動を見ていくととても恐ろしい。みんな自分が正しいと思ったことを正しいと言って実行してる。その影響力が偶然強かったのが主人公だった。彼を責めてすっきりしている住民たちは薄々それに気付きかけて、全員が肩を落としてジエンド。登場人物たち全員がトラウマを抱えるエンドってすごいぞ。

 「侵入者」の監督であるロジャー=コーマンはB級映画の帝王と呼ばれていて、この人はオッパイとか爆発とかスプラッタな映画を数百本も製作している人らしいのだけれど、彼のフィルモグラフィで唯一の社会派映画がこの「侵入者」だそうだ。鬱屈したものをバーンと表現したのかな。


 ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」は和製RPGの冷める要素を集めた感じでつまんないんだけど、ちょっとだけひねくれて、呪いの家に越してきた主人公が次第に幻覚にとらわれていき周囲の人間を巻き込んで集団的に狂っていくホラー映画だと考え直せばとても面白かった。アリエッティと神木君が初遭遇するシーンでの「怖がらないで……」もふつうにすっげー怖い。

 ラスト間近のここは猫にバクっといかれそうだなーと思いながら観てた。

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 夢の広がる映画といえば、海上で強盗団が触手の化け物に襲われるモンスター映画「ザ・グリード」も楽しかった。助かった主人公たちが漂着した無人島でさらなる化け物の叫び声を聞くところで映画がおわる。続編はもう16年も経っちゃってるから無理か。突然人物が老けたらおかしいもんな。